2010年12月17日金曜日

税制改正大綱決定

 政府は16日、平成23年度の税制改正大綱を決定しました。
 法人税率の引き下げや相続税の増税など、目玉として言われていたところはおおむね反映されているようですが、一方で租税特別措置法への切り込みや地球温暖化対策税などはいまいちな部分もありそうな内容です。

 細かい点はこちらにまとめを用意しました。
 どこよりも早い改正情報まとめだと思います。

 実務に影響の出そうな部分を順に見ていきますと。

<上場株式等の配当・譲渡>
 これは数年前から散々言われているもので、上場株式の配当や譲渡について10%の軽減税率が適用されているものです。去年の段階では20%の本則に戻すという流れだったのですが、結局もう2年延長することになったようです。その分、準備されていた非課税口座(100万円までの元本に対する譲渡所得を非課税とする措置)は2年先送りになりました。

<FX所得>
 現在、東証の「くりっく365」大証の「大証FX」以外のFXは、各社との相対取引になっているため、雑所得でも特例が適用されず、最大50%(住民税含む)の累進課税かつ、損益通算はできませんでした。
 しかしこれらについても20%の税率で課税することや、3年間の繰越控除が可能となるため、たとえば「ある年はマイナス、翌年にプラス」になった場合に、きちんと申告をしていれば通算することができるようになります。
 このことは数年前から言われていたことで、FXを行う人にとっては朗報になると思います。

<長崎年金問題>
 以前このブログでもお伝えしたとおりですが、長崎年金問題では「更正の請求ができる期間」と「更正の請求ができない期間」の両方が存在していました。
 このうち、「更正の請求ができない期間」に対応するのが今回の改正です。
 なお、該当者には各保険会社から連絡がいったようですので、このブログでは取り上げませんでしたが、「更正の請求ができる期間」の計算方法などは既に公表されています。また、早い場合にはその期限も今年12月末の場合がありますので、年金型の死亡保険金を受け取った記憶のある方はもう一度確認してみてください。

<定率法の償却率>
 実務家にとっては面倒な改正がこれです。
 平成19年に減価償却が一新され、それ以前に取得した「旧定率法」と、それ以後に取得した「(新)定率法」の2種類に分かれました。この(新)定率法は償却率として「定額法の償却率の2.5倍」だったのですが、これを「定額法の償却率の2倍」に変更するのが今回の改正です。
 よって今後は「旧定率法」「(新)定率法」「(最新)定率法」の3種類が混在することになり、それぞれに数表が存在しますので取得日によってそれぞれをキチンと振り分けないといけないことになります。

<課税庁が更正できる期間>
 現状の税務調査では悪質なものがない限り、調査年度は3期分となる場合が多いです。これは例えば4年前のものに修正点が見つかったとしても、更正の期限が過ぎているため更正できなかったためです。
 しかし今回、この期間が5年に延長されることにより、今後の調査では調査年度として5年間指定される場合が増えるような気がします。もし3年で書類を破棄されている方がいましたら、この機会にぜひ7年間まで保存するように変更してください。
 テレビでは「更正の請求の期間が延びた」の方を言うことが多かったですが、同時に課税庁側が更正してくる期間もこうして延びてますので、充分注意が必要です。

<消費税の免税事業者の判定>
 消費税を納める義務があるかないかは、2年前の課税売上高を基準にします。この趣旨は「期首の段階で今年消費税を納める必要があるかないかを分かっているようにするため」ですが、今回の改正はこれを逆手に取り、「じゃあ上半期で課税の基準に達してるなら翌年の期首には普通分かってるでしょ?」という観点で創設されました。
 具体的に事業年度が1年の場合には、最初の6か月での課税売上高が1,000万円を超えた場合、その次の期から課税事業者となります。今までより1年早くなりますのでその分増税になります。
 たとえば法人成りで1年目からそれなりの売上高がある場合には、2期目から課税事業者となってしまうため、最初の事業年度を7か月以内にするなどの対策を講じるという手もあります。


 もちろん、まだ「大綱」なのでこのまま決定するかどうかは分かりません。が、例年どおりならばほぼこのまま成立するはずですので、税金対策の場合にはこれらを考慮に入れて、最新の税法に沿ったものを考えていくことになります。

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