さらに翌7月7日には野田財務大臣により、更正の請求期限を超える部分についても、何らかの措置を講ずる可能性があることを示唆しました。
<そもそもどういうものなのか>
現行の相続税には「みなし財産」という規定があり、被相続人が保険料を負担した契約者で、相続人が受取人の生命保険契約や損害保険契約について、被相続人が死亡したことにより受給権が発生した場合には、これは死亡時の被相続人の財産ではなくても、実質的に被相続人の財産を一緒だろうということで、財産とみなして相続税を課税する規定があります。
たとえば、妻を受取人にして夫に生命保険がかかっていて、保険料も夫が払っているような場合に、夫が死亡したような時が該当します。
さらに今回は年金受給権に限った判決であることに注意です。つまり、死亡保険金などが一時にどかんと受け取れるものは対象外になっています。
<今までは>
今までの国税側の解釈では、上記のようなみなし財産の目的は「年金受給権」であって「年金」ではないというものから、被相続人の死亡時の相続税(年金受給権として)に加えて、相続人が実際に年金を取得した時も雑所得(年金として)として所得税を課していました。
<最高裁の判決>
今回の判決により、この「年金受給権」と「年金」は実質的に同一のものであるということが言われ、所得税法の非課税規定に
相続、遺贈又は個人からの贈与により取得するもの(相続税法(昭和二十五年法律第七十三号)の規定により相続、遺贈又は個人からの贈与により取得したものとみなされるものを含む。)
とあるとおり、この「年金」についても非課税とされることとなりました。
これは今までの取扱と異なる部分ですので、同様の事例がある人は税金が還ってくる可能性があるということになります。
「収入がないし、税金がかかってないから関係ないわ」という方でも、このような年金はあらかじめ源泉徴収として受取の際に税金が天引きされている場合がありますので、あらためて確認してみると税金が還ってくる可能性があるかもしれません。
なお、相続税が実際にかかったかどうかは関係ないと思われます。
<実際の計算?>
まだ判決がされただけですので詳しいことは分かりませんが、もともと「年金受給権」としての相続税の課税は、たとえば毎年230万円を10年間受け取る年金ならば2300万円全額に課税するわけではなく、「10年後の230万円は現在の価値に直せばもっと安いだろう」という趣旨から、一定の割合を逓減したものとなっています。
この場合では2300万円に0.6を乗じた1380万円が相続税の課税対象になるわけです。
(実際は年金期間の残存期間に応じて0.2~0.7までの数字を乗じます)
そこで、差額の920万円(2300万円-1380万円)については、「現在1380万円の価値があるものが10年後には2300万円になる」ということから、「10年間で920万円増えたのだ」という、いわゆる運用益として見ることになる、という判決がされました。
よって、920万円部分は所得税の課税対象になるものと思われます。が、毎年どのようにそれを配分するか等はまだよく分かっていません。
ですが今まで2300万円全額が所得税の対象にもなっていたことを考えると、1380万円もの金額が非課税扱いとなりますので、それなりの還付金が発生する人も少なくないと思われます。
<現在は実務対応待ち>
この還付は自動的には行われません。「更正の請求」という手続きが必要です。
今現在はまだ上記のとおり2年目以降の金額の計算方法が定かではないので、対応指針待ちという状態にはなりますが、当事務所ではこの年金還付をしたいという方からのご相談もお受けいたします。
一番スムーズなのは「過去の申告書の控え」と「保険金の受給状況」が確認できれば、全国どこからでも郵送やメール等で対応可能ですので、ぜひこちらからご相談ください。
税金を取り戻すチャンスかもしれません。ぜひ一度確認してみてください。
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