2010年12月26日日曜日

【23年度税制改正】定率法の償却率改正について

 23年度の税制改正では、平成19年に変更されたばかりの定率法の償却率について再改正が入る見込みとなりました。
 具体的な改正内容は大綱を抜粋すると以下のようになります。

② 減価償却制度について、平成 23 年4月1日以後に取得をする減価償却資産の定率法の償却率は、定額法の償却率(1/耐用年数)を2.0倍した数(現行 2.5倍した数)とします。なお、改定償却率及び保証率についても所要の整備を行います(所得税についても同様とします。)。
(注1)定率法を採用している法人が、平成23 年4月1日前に開始し、かつ、同日以後に終了する事業年度において、同日からその事業年度終了の日までの期間内に減価償却資産の取得をした場合には、現行の償却率による定率法により償却することができる経過措置を講じます。(中略)
(注2)現行の償却率による定率法を採用している減価償却資産について、平成 23 年4月1日以後最初に終了する事業年度の申告期限までに届出をすることにより、その償却率を改正後の償却率に変更した場合においても当初の耐用年数で償却を終了することができる経過措置を講じます。

というわけで、今回の改正は耐用年数自体に影響はありません。あくまで償却率の改正です

<現在の規定>
 まず、現在の規定から見ていくことにしましょう。
 平成19年度の税制改正により、現在定率法は2種類存在しています。条文上では「旧定率法」と「定率法」と呼ばれていますが、ここでは便宜上「定率法」を「現定率法」とし、今回の改正で導入されるものを「新定率法」と区別します。
 旧定率法は耐用年数が終わった後の価値を10%と見積もり、毎期の残高に同じ率を乗じて減価償却費を計算する方法でした。たとえば取得価額が100万円で耐用年数が6年なら、0.319という数値が与えられており、
  1年目 1,000,000円×0.319=319,000円
  2年目 (1,000,000円-319,000円)×0.319=217,239円
というように償却率をだんだん下げていって耐用年数が終わった段階で10%が残るようになっていました。
 現在でも平成19年3月31日以前に取得したものは現定率法でなく旧定率法で償却しなければいけません。

 それに対して平成19年4月1日以後に取得したものについては現定率法を適用することになります。
 旧定率法では、耐用年数が終わっても価値があることを前提として計算されていました。しかし、この年の改正で定額法も定率法もその価値を0として見る旨の改正が行われたため、定率(上記の例でいう0.319)を変える必要がありました。
 しかし、一定の率を乗じて数年後に0円をする率を設けるのは理論上不可能なため、おおむね旧定率法と同じような曲線を描くように、定額法の償却率の250%の率を用いることとされました。
 たとえば耐用年数6年なら定額法の償却率は0.167のため、これを2.5倍した0.417を用います。
  1年目 1,000,000万円×0.417=417,000円
  2年目 (1,000,000円-417,000円)×0.417=243,111円
  3年目 (583,000円-243,111円)×0.417=141,733円
  4年目 (339,889円-141,733円)×0.417=82,631円
 ここで、このまま償却を続けていくと、6年目には0円になりません。これに対処するため、定率法の償却額が「残りの価額÷残りの期間」を下回る場合には、そこから先は定額で償却していこう、ということになっています。
  5年目 (1) (198,156円-82,631円)×0.417=48,173円
      (2) (198,156円-82,631円)÷残り2年=57,762円
      (1)<(2)のため、(2)57,762円
  6年目 57,762円
というように計算していくのが現定率法です。

<改正の内容>
 もともと平成19年の税制改正は「耐用年数が終わった後の価値をなくす」だけの内容だったのに、たとえば上記の例でいえば1年目の償却額が約10万円もの開きが出てしまっています。このように、多少償却率が高すぎた感があったのです。
 そこで、定額法の250%で定められていた償却率を、定額法の200%の率に下方修正することにより、旧定率法に近いイメージの償却を行うように改正がされる見込みです。
 以下の推移をみると確かに旧定率法に近い形になっています。
 ただし、実務的には、「旧定率法」「現定率法」「新定率法」の3種類が混在することになり、管理の手間が増えることは否めません。専用ソフトを使っている場合は更新の必要があり、Excelなどで管理している場合には算式の手直しが必要になるでしょう。

<改正の附則>
 この改正は原則として「平成23年4月1日以後に取得した固定資産」から適用されます。したがって、原則だけならば、3月決算法人以外は期の途中で改正による影響が出ることになります。
 そこで出てくるのが(注1)の附則です。この附則により、あくまで実際の適用は平成23年4月1日以後最初に開始する事業年度に取得したものからになると思われます。
 そしてもう1つの(注2)は、おそらく償却方法が3つに分かれる事務の煩雑化の対策として、現定率法を新定率法に変えて償却しても問題はないようにするものだと思われます。もともと「旧定率法→現定率法」は償却率のアップだったために移行は認められませんでしたが、「現定率法→新定率法」は償却率のダウンですので移行が認められるのだと思います。そこで、移行した場合でも大原則である耐用年数経過後は0円を守るために作られた附則でしょう。実際にどのような内容になるかは3月末まで分かりません。

今月の納期限情報(2010.12)

12月31日に納期限を迎える主な税金は以下のとおりです。

・10月決算法人の法人税/都道府県民税/市町村民税/事業税(地方法人特別税) /事業所税/消費税
・4月決算法人の上記の税の中間申告
・7月/1月決算法人が消費税の「3月中間申告」をしている場合のその中間申告

・固定資産税[第3期](堺市の場合)

年末なので余裕を持った納税を!

2010年12月22日水曜日

【23年度税制改正】給与所得控除額の改正について

 23年度の税制改正大綱には、給与収入から一定額を控除できる給与所得控除額についての改正がありました。
これについて詳しく見ていきます。

<給与所得控除とは?>
 給与所得控除とは、個人が給与収入を受け取った場合に、税金計算上、その金額から無条件で控除できる金額のことです。「サラリーマンの必要経費」とも言われます。
 個人事業を行っている人は売上高から必要経費を差し引くことができるのに対し、サラリーマンは給与収入から何も引くものがないのは不平等だ、という意見から規定されています。
 具体的には、その年1年間の収入に応じて、次のように定められています。

【現状の規定】
   給与収入額           控 除 額
    0円~ 180万円 … 収入額の40%(ただし最低65万円)
  180万円~ 360万円 … 収入額の30%に 18万円を加えた金額
  360万円~ 660万円 … 収入額の20%に 54万円を加えた金額
  660万円~1000万円 … 収入額の10%に120万円を加えた金額
 1000万円~     … 収入額の 5%に170万円を加えた金額


 このように、給与収入額が高くなるに応じて、だんだんと控除率は減っていきますが、基本的に青天井で控除額は増えていく形になります。
 たとえば給与収入額が5000万円の場合には、5000万円×5%+170万円=420万円を控除できることとなります。逆にいえば、5000万円から420万円を控除した4580万円が給与所得となるわけです。

<改正の内容>
 平成23年度の税制改正でこの規定は改正される見込みです。
 どのように変わるかといえば、控除できる額に上限が設定されます。給与収入額が1500万円を超える場合、給与所得控除額は一律に245万円で固定されます。
 さらに、給与の受取人が役員等である場合には、給与収入額が2000万円以上になると、今度は逆に給与所得控除額がだんだん下がっていきます。これは、昨年の税制改正で削除された「特殊支配同族会社の役員給与の損金不算入」の規定の形を変えた復活版と言えなくもないですが、こちらのほうが税負担額は少なくなると思われます。
 詳しく言えば、以下のとおりの改正内容になります。

【改正の内容】
   給与収入額           控 除 額
 (全 員)
 1500万円~     … 245万円
 (役員等の場合)
 1500万円~2000万円 … 245万円
 2000万円~2500万円 … 245万円-(収入額-2000万円)×12%
 2500万円~3500万円 … 185万円
 3500万円~4000万円 … 185万円-(収入額-3500万円)×12%
 4000万円~     … 125万円


 図であらわすと次のとおりになります。

 そして、他に所得がなく、基礎控除以外の所得控除もない場合、所得税と住民税を合わせた増税額は次のとおりです。


 もともと、1年間の収入額が1500万円を超えない限り、この改正は問題ないのですが、逆に1500万円を超える人は実効税率もそれなりに高い人が多いため、数十万円の増税になる場合も珍しくないと思われます。
 どうせ給与所得控除額が増えないのなら、同族会社なら配当金で受け取った方が有利になるかもしれません。給与が多い方については検討する余地はあるかと思います。

 なお、ここからは余談ですが、今回の改正の「役員等」には、法人税法上の役員のほか、国会議員・地方議員・一定の公務員も含まれます。法人税法上の役員とは、取締役などの登記上の役員のほか、それ以外でも会社の経営に従事しているいわゆる「みなし役員」も含まれますので注意してください。
 また、実際にかかった「サラリーマンの必要経費」が給与所得控除額を超える場合に適用できた「特定支出控除」も改正の見込みです。今までより適用はしやすくはなりましたが、それでも証明が必要なこと等厳しいものですので、適用にあたっては充分注意が必要です。

 最後に適用時期ですが、平成24年分以後の所得税について適用されますので、確定申告する場合には平成25年3月申告分からの適用になります。

2010年12月17日金曜日

税制改正大綱決定

 政府は16日、平成23年度の税制改正大綱を決定しました。
 法人税率の引き下げや相続税の増税など、目玉として言われていたところはおおむね反映されているようですが、一方で租税特別措置法への切り込みや地球温暖化対策税などはいまいちな部分もありそうな内容です。

 細かい点はこちらにまとめを用意しました。
 どこよりも早い改正情報まとめだと思います。

 実務に影響の出そうな部分を順に見ていきますと。

<上場株式等の配当・譲渡>
 これは数年前から散々言われているもので、上場株式の配当や譲渡について10%の軽減税率が適用されているものです。去年の段階では20%の本則に戻すという流れだったのですが、結局もう2年延長することになったようです。その分、準備されていた非課税口座(100万円までの元本に対する譲渡所得を非課税とする措置)は2年先送りになりました。

<FX所得>
 現在、東証の「くりっく365」大証の「大証FX」以外のFXは、各社との相対取引になっているため、雑所得でも特例が適用されず、最大50%(住民税含む)の累進課税かつ、損益通算はできませんでした。
 しかしこれらについても20%の税率で課税することや、3年間の繰越控除が可能となるため、たとえば「ある年はマイナス、翌年にプラス」になった場合に、きちんと申告をしていれば通算することができるようになります。
 このことは数年前から言われていたことで、FXを行う人にとっては朗報になると思います。

<長崎年金問題>
 以前このブログでもお伝えしたとおりですが、長崎年金問題では「更正の請求ができる期間」と「更正の請求ができない期間」の両方が存在していました。
 このうち、「更正の請求ができない期間」に対応するのが今回の改正です。
 なお、該当者には各保険会社から連絡がいったようですので、このブログでは取り上げませんでしたが、「更正の請求ができる期間」の計算方法などは既に公表されています。また、早い場合にはその期限も今年12月末の場合がありますので、年金型の死亡保険金を受け取った記憶のある方はもう一度確認してみてください。

<定率法の償却率>
 実務家にとっては面倒な改正がこれです。
 平成19年に減価償却が一新され、それ以前に取得した「旧定率法」と、それ以後に取得した「(新)定率法」の2種類に分かれました。この(新)定率法は償却率として「定額法の償却率の2.5倍」だったのですが、これを「定額法の償却率の2倍」に変更するのが今回の改正です。
 よって今後は「旧定率法」「(新)定率法」「(最新)定率法」の3種類が混在することになり、それぞれに数表が存在しますので取得日によってそれぞれをキチンと振り分けないといけないことになります。

<課税庁が更正できる期間>
 現状の税務調査では悪質なものがない限り、調査年度は3期分となる場合が多いです。これは例えば4年前のものに修正点が見つかったとしても、更正の期限が過ぎているため更正できなかったためです。
 しかし今回、この期間が5年に延長されることにより、今後の調査では調査年度として5年間指定される場合が増えるような気がします。もし3年で書類を破棄されている方がいましたら、この機会にぜひ7年間まで保存するように変更してください。
 テレビでは「更正の請求の期間が延びた」の方を言うことが多かったですが、同時に課税庁側が更正してくる期間もこうして延びてますので、充分注意が必要です。

<消費税の免税事業者の判定>
 消費税を納める義務があるかないかは、2年前の課税売上高を基準にします。この趣旨は「期首の段階で今年消費税を納める必要があるかないかを分かっているようにするため」ですが、今回の改正はこれを逆手に取り、「じゃあ上半期で課税の基準に達してるなら翌年の期首には普通分かってるでしょ?」という観点で創設されました。
 具体的に事業年度が1年の場合には、最初の6か月での課税売上高が1,000万円を超えた場合、その次の期から課税事業者となります。今までより1年早くなりますのでその分増税になります。
 たとえば法人成りで1年目からそれなりの売上高がある場合には、2期目から課税事業者となってしまうため、最初の事業年度を7か月以内にするなどの対策を講じるという手もあります。


 もちろん、まだ「大綱」なのでこのまま決定するかどうかは分かりません。が、例年どおりならばほぼこのまま成立するはずですので、税金対策の場合にはこれらを考慮に入れて、最新の税法に沿ったものを考えていくことになります。

2010年11月24日水曜日

今月の納期限情報(2010.11)

11月30日に納期限を迎える主な税金は以下のとおりです。

・9月決算法人の法人税/都道府県民税/市町村民税/事業税(地方法人特別税) /事業所税/消費税
・3月決算法人の上記の税の中間申告
・6月/12月決算法人が消費税の「3月中間申告」をしている場合のその中間申告

・所得税の予定納税[第2期]
・個人事業税[第2期]
・特別農業所得者の所得税の予定納税

2010年10月31日日曜日

今月の納期限情報(2010.10)

11月1日に納期限を迎える主な税金は以下のとおりです。

・8月決算法人の法人税/都道府県民税/市町村民税/事業税(地方法人特別税) /事業所税/消費税
・2月決算法人の上記の税の中間申告
・5月/11月決算法人が消費税の「3月中間申告」をしている場合のその中間申告

・個人住民税[第3期](堺市の場合)

2010年10月7日木曜日

平成23年税制改正の議論スタート

 いよいよ今年の税制改正の議論がはじまりました。
 民主党政権になってから2回目の税制改正ということで、「現実路線」になりつつある民主党がどのような改正をもってくるのか注目されます。

<注目の減税措置>
 減税面では「法人税率の引き下げ」が言われています。現行法人税率30%(中小法人は一部18%)に都道府県民税と市町村民税、さらに事業税・地方法人特別税までを「所得に対する税金」として課税していますが、これらを合計した最終的な税率(法定実効税率)は諸外国に比べて日本は高く、海外の企業を誘致するのが難しいと言われています。
 またこれの逆に、日本の企業が海外に拠点を移転する原因の1つにもなっています。
 が、一般のサラリーマンの方にはほぼ恩恵の少ない減税措置な上に、中小企業にとっても、ただでさえ現在赤字の会社が多い状態では意味は少ないのではないかなぁと個人的には思っています。

<注目の増税措置>
 その一方で増税の話はかなり多く出ています。
 まず、これは決定済ですが来年度より扶養控除が見直され、18歳までの子供を扶養している場合の控除が減額または廃止されます。「子ども手当」が満額支給されなければ結局手取りが減る世帯も出るようで、本末転倒な気もします。
 また、昨年導入が見送られた改正に「租税特別措置法の改組」「相続税の大改正」があります。租税特別措置法はこちらがその原文なのですが非常に分かりにくく、ややこしい法律です。この法律による減税額が7兆円(増税分が2兆円ほどあるので実質減税額は約5兆円)ほどあるらしく、いらないものは廃止してしまおうというのですが、7兆円の減税のうち5兆2000億ほどはたった3つの規定による減税になっているのが現状です。
 それが、
  (1)石油化学製品の原材料ナフサへの免税(祖特89条の2など) … 約3兆7890億円
  (2)住宅ローン減税(租特41条など) … 約8240億円
  (3)法人の試験研究費の特別控除(租特42条の4) … 約6510億円

 です。
 (1)のナフサ免税は一部で「隠れた特定団体への補助金」と言われていますが衣類やプラスチック製品を製造するのに必要なものである上に、諸外国では租税特別措置と言わず本則ですら課税している国はないことから、国際競争力の面もあり継続されると思われます。
 (2)の住宅ローン減税はおなじみの減税項目ですが、これも不動産関係の景気の下支えから2年前(麻生政権時)に大幅に増額されたばかりです。
 (3)の試験研究費の控除は企業活動にある程度寄与しているはずなのですが、どの程度効果があるのかが不明という声もあり、微妙なところです。
 これらを除くと減税項目といってもなかなか細かいものしかなく、財源をどこからねん出するのか注目されます。
 相続税の大改正についてもここ数年言われており、具体的には今までより財産のない人でも課税していくのではないか、と言われています。

<環境税>
 さらに昨今、環境税(地球温暖化対策税)の創設が言われていますが、これも各種団体から反発が激しく、導入されるかどうかはかなり厳しそうな状況です。

 ともあれ、毎年それなりのものが変わる税制改正ですので、今年も12月の大綱発表時にはいろんな項目が織り込まれるものと思われます。

2010年9月28日火曜日

今月の納期限情報(2010.9)

9月30日に納期限を迎える主な税金は以下のとおりです。

・7月決算法人の法人税/都道府県民税/市町村民税/事業税(地方法人特別税) /事業所税/消費税
・1月決算法人の上記の税の中間申告
・個人事業者の消費税の中間申告
・4月/10月決算法人が消費税の「3月中間申告」をしている場合のその中間申告

2010年8月30日月曜日

2010年9月以降の社会保険料率

2010年9月分(10月末納付分)から給与から天引きする社会保険料の率が変更されます。
詳細な料率は協会けんぽ日本年金機構などに記載されていますが、一般の方の料率は以下のとおりになります。

<健康保険料>
協会けんぽ(全国健康保険協会)管掌の健康保険料率は今年3月(4月末納付分)に一度変更されましたので、今回9月分では変更はありません。
 ⇒ 健康保険料率についてのお知らせ
よって、各都道府県によって料率は異なりますが、大阪府の場合ですと標準報酬額×9.38%、従業員負担額で言えば標準報酬額×4.69%になります。

<介護保険料>
協会けんぽ(全国健康保険協会)管掌の介護保険料率も今回は変更はありません。
よって、大阪府の場合ですと標準報酬額×1.50%、従業員負担額で言えば標準報酬額×0.75%になります。

<厚生年金保険料>
日本年金機構の厚生年金保険料率については、9月分より例年どおり0.354%引き上げられ16.058%(従業員負担額は8.029%)になりました。
 ⇒ 平成22年9月分(同年10月納付分)からの保険料額表について

また、7月1日~10日までの間に提出した社会保険算定基礎届により、標準報酬額が変更になる場合についても9月分からの適用となりますので、日本年金機構からの通知書をもとに給与ソフトなどの設定が必要です。

これらの設定を変更する場合、前月(8月分)の給与に影響を与えないようにする必要があります。
たとえば弥生給与では、給与処理月度を9月分に更新するか、8月分給与をロックした状態で料率の変更などを行わないと、支給が完了した8月分給与が変更されてしまいます。これが意外と気づきにくく、年末調整の時に金額が合わなくなる原因となりますので、きちんと処理する必要があります。

なお、会社の給与規定により社会保険料の天引きを当月払(10月納付分を10月分給与から天引きする)などにしている場合には9月分給与ではまだ変更はありませんので、この点も確認しておく必要があります。

今月の納期限情報(2010.8)

8月31日に納期限を迎える主な税金は以下のとおりです。

・6月決算法人の法人税/都道府県民税/市町村民税/事業税(地方法人特別税) /事業所税/消費税
・12月決算法人の上記の税の中間申告
・個人事業者の消費税の中間申告
・3月/9月決算法人が消費税の「3月中間申告」をしている場合のその中間申告

・個人住民税[第2期](堺市の場合)
・個人事業税[第1期]

2010年7月31日土曜日

今月の納期限情報(2010.7)

8月2日に納期限を迎える主な税金は以下のとおりです。

・5月決算法人の法人税/都道府県民税/市町村民税/事業税(地方法人特別税) /事業所税/消費税
・11月決算法人の上記の税の中間申告
・2月/8月決算法人が消費税の「3月中間申告」をしている場合のその中間申告

・固定資産税[第2期](堺市の場合)

・国民年金保険料を前納しようとする場合の期限も8月2日です。

2010年7月15日木曜日

最高裁の判決で年金受給権の二重課税が還付の対象に

7月6日、最高裁は年金として相続税が課された金額について所得税がさらに課税されるのは違法との判決を示しました。
さらに翌7月7日には野田財務大臣により、更正の請求期限を超える部分についても、何らかの措置を講ずる可能性があることを示唆しました。

<そもそもどういうものなのか>
現行の相続税には「みなし財産」という規定があり、被相続人が保険料を負担した契約者で、相続人が受取人生命保険契約や損害保険契約について、被相続人が死亡したことにより受給権が発生した場合には、これは死亡時の被相続人の財産ではなくても、実質的に被相続人の財産を一緒だろうということで、財産とみなして相続税を課税する規定があります。
たとえば、妻を受取人にして夫に生命保険がかかっていて、保険料も夫が払っているような場合に、夫が死亡したような時が該当します。
さらに今回は年金受給権に限った判決であることに注意です。つまり、死亡保険金などが一時にどかんと受け取れるものは対象外になっています。

<今までは>
今までの国税側の解釈では、上記のようなみなし財産の目的は「年金受給」であって「年金」ではないというものから、被相続人の死亡時の相続税(年金受給権として)に加えて、相続人が実際に年金を取得した時も雑所得(年金として)として所得税を課していました。

<最高裁の判決>
今回の判決により、この「年金受給権」と「年金」は実質的に同一のものであるということが言われ、所得税法の非課税規定に
相続、遺贈又は個人からの贈与により取得するもの(相続税法(昭和二十五年法律第七十三号)の規定により相続、遺贈又は個人からの贈与により取得したものとみなされるものを含む。)

とあるとおり、この「年金」についても非課税とされることとなりました。
これは今までの取扱と異なる部分ですので、同様の事例がある人は税金が還ってくる可能性があるということになります。
「収入がないし、税金がかかってないから関係ないわ」という方でも、このような年金はあらかじめ源泉徴収として受取の際に税金が天引きされている場合がありますので、あらためて確認してみると税金が還ってくる可能性があるかもしれません。
なお、相続税が実際にかかったかどうかは関係ないと思われます。

<実際の計算?>
まだ判決がされただけですので詳しいことは分かりませんが、もともと「年金受給権」としての相続税の課税は、たとえば毎年230万円を10年間受け取る年金ならば2300万円全額に課税するわけではなく、「10年後の230万円は現在の価値に直せばもっと安いだろう」という趣旨から、一定の割合を逓減したものとなっています。
この場合では2300万円に0.6を乗じた1380万円が相続税の課税対象になるわけです。
(実際は年金期間の残存期間に応じて0.2~0.7までの数字を乗じます)
そこで、差額の920万円(2300万円-1380万円)については、「現在1380万円の価値があるものが10年後には2300万円になる」ということから、「10年間で920万円増えたのだ」という、いわゆる運用益として見ることになる、という判決がされました。
よって、920万円部分は所得税の課税対象になるものと思われます。が、毎年どのようにそれを配分するか等はまだよく分かっていません。
ですが今まで2300万円全額が所得税の対象にもなっていたことを考えると、1380万円もの金額が非課税扱いとなりますので、それなりの還付金が発生する人も少なくないと思われます。

<現在は実務対応待ち>
この還付は自動的には行われません。「更正の請求」という手続きが必要です。
今現在はまだ上記のとおり2年目以降の金額の計算方法が定かではないので、対応指針待ちという状態にはなりますが、当事務所ではこの年金還付をしたいという方からのご相談もお受けいたします
一番スムーズなのは「過去の申告書の控え」と「保険金の受給状況」が確認できれば、全国どこからでも郵送やメール等で対応可能ですので、ぜひこちらからご相談ください。

税金を取り戻すチャンスかもしれません。ぜひ一度確認してみてください。

2010年6月24日木曜日

今月の納期限情報(2010.6)

6月30日に納期限を迎える主な税金は以下のとおりです。

・4月決算法人の法人税/都道府県民税/市町村民税/事業税(地方法人特別税) /事業所税/消費税
・10月決算法人の上記の税の中間申告
・1月/7月決算法人が消費税の「3月中間申告」をしている場合のその中間申告

・個人住民税[第1期](堺市の場合)

・3月決算法人で申告期限を延長している場合の確定納付額と見込納付額との差額

2010年5月24日月曜日

今月の納期限情報(2010.5)

5月31日に納期限を迎える主な税金は以下のとおりです。

・3月決算法人の法人税/都道府県民税/市町村民税/事業税(地方法人特別税)/事業所税/消費税
・9月決算法人の上記の税の中間申告
・6月/12月決算法人が消費税の「3月中間申告」をしている場合のその中間申告

・自動車税(堺市の場合)
・固定資産税[第1期](堺市の場合)

・平成21年分の所得税を延納した場合の延納額

2010年5月6日木曜日

平成22年度は原則法のみ。受取配当等の益金不算入

平成22年度の法人税法改正で、受取配当金の益金不算入で簡便法を適用する場合の基準年度が変更されました。
<改正前> 基準年度 = 平成10年4月1日から平成12年3月31日までに開始する事業年度
<改正後> 基準年度 = 平成22年4月1日から平成23年3月31日までに開始する事業年度


そこで、たとえば3月決算の会社が今年この規定を適用する場合には、簡便法による対象事業年度は平成23年度がまだないため、平成22年度のみとなります。つまり、原則法と簡便法が同じ事業年度になるので、金額が同じとなるわけです。
結果的に平成22年4月1日以後最初に開始する事業年度については、原則法によって処理しなければならないということです。

では、あらためて制度の概要と原則法の計算を見ていきます。

受取配当等の益金不算入制度は、企業が受け取った配当金について、法人税法上の益金に算入しないでよい、という規定です。なぜならば、配当金については既に法人税が課されているので、二重課税を防ぐためです。
ですので、外国の株式やそれを投資対象とする投資信託(PCAインド株式オープンなど)は制度の対象外です。
また、たとえば短期で売買している株式や、借入金で購入した株式などは一定の制限があります。

今回の改正の対象となった「原則法」「簡便法」とは、借入金で購入した株式の利子分を配当から控除する、という趣旨に沿う部分で、「控除負債利子の計算」と呼ばれます。

具体的には
当期に支払った借入金利子×(株式等の帳簿価額÷総資産の帳簿価額)
であらわされますが、この計算が非常に厄介なものとなっており、実務家の中でも混乱している方も多いのが現状です。

1 当期に支払った借入金利子
 これは法人税法施行令第21条のほか、法人税法基本通達3-2-1に規定があり、次のようになっています(特殊事業に関係する部分は除きます)。
(支払利子の範囲)
3-2-1 法第23条第4項《負債利子の控除》に規定する「支払う負債の利子」には、次に掲げるようなものを含むことに留意する。
(1) 受取手形の手形金額と当該受取手形の割引による受領金額との差額を手形売却損として処理している場合の当該差額(手形に含まれる金利相当額を会計上別処理する方式を採用している場合には、手形売却損として帳簿上計上していない部分を含む。)
(2) 買掛金を手形によって支払った場合において、相手方に対して当該手形の割引料を負担したときにおけるその負担した割引料相当額
(3) 従業員預り金、営業保証金、敷金その他これらに準ずる預り金の利子
(4)~(7) 省略

すなわち、支払利息・手形売却損(割引料)を主として、その他社債利息など利息と同様の性質のものを入れることとなっています。
ただし、同通達3-2-2以降で利息に含めなくてよいものもあるので注意が必要です。
具体的には、利子税・地方税の延滞金・取得価額に含めなかった割賦利息・売上割引・輸入決済手形借入金利息は利息に含めなくてよいことになっていますので、含めないほうが企業によっては益金不算入の額が増え、課税所得は減少します。

2 株式等の帳簿価額
 これは事業年度末における株式等の税務上の帳簿価額です。
すなわち、別表5(1)で留保している評価損否認額等があればそれを加算します。
また、株式や出資と、受益証券とに分け、後者は外貨建割合に応じて配当等の額と同じく1/2や1/4にしたり含めなかったりします。
投資信託の場合には目論見書にて扱いが書いているので、それに従ってください。

3 総資産の帳簿価額
 これは事業年度末における確定した決算の総資産の帳簿価額です。法律上「確定した決算の」とある場合には、これは会計上のことを指します。
すなわち、基礎になるのは貸借対照表の総資産の合計額です。
ただし、これだけだと企業の会計方針によって大きな差が出てしまいますので、同施行令第22条第1項や同通達3-2-5によってある程度の指針が定められています(一部記載を簡略化)。
イ 固定資産の帳簿価額を損金経理により減額することに代えて積立金として積み立てている金額を加算
ロ 租税特別措置法の規定により特別償却準備金として積み立てている金額を加算
ハ 土地再評価差額金額を加減算(再評価しなかった状態にする)
ニ その他有価証券に係る評価益等相当額を加減算(評価替しなかった状態にする)

(総資産の帳簿価額の計算)
3-2-5 令第22条第1項第1号《総資産の帳簿価額》に規定する総資産の帳簿価額(以下3-2-7までにおいて「総資産の帳簿価額」という。)の計算については、次に掲げるような場合には、次による。
(1) 支払承諾見返勘定又は保証債務見返勘定のように単なる対照勘定として貸借対照表の資産及び負債の部に両建経理されている金額がある場合には、当該資産の部に経理されている金額は、総資産の帳簿価額から控除する。
(2) 貸倒引当金勘定の金額が、金銭債権から控除する方法により取立不能見込額として貸借対照表に計上されている場合にはその控除前の金額を、注記の方法により取立不能見込額として貸借対照表に計上されている等の場合にはこれを加算した金額を、それぞれの金銭債権の帳簿価額とすることができる。
(3) 退職給付信託における信託財産の額が、退職給付引当金勘定の金額と相殺されて貸借対照表の資産の部に計上されず、注記の方法により貸借対照表に計上されている等の場合には、当該信託財産の額を加算した金額を総資産の帳簿価額とすることができる。
(4) 貸借対照表に計上されている返品債権特別勘定の金額(売掛金から控除する方法により計上されているものを含む。)がある場合には、これらの金額を控除した残額を売掛金の帳簿価額とする。
(5) 貸倒損失が金銭債権から控除する方法により取立不能見込額として貸借対照表に計上されている場合には、これを控除した残額を金銭債権の帳簿価額とする。
(6) 貸借対照表に計上されている補修用部品在庫調整勘定又は単行本在庫調整勘定の金額がある場合には、これらの金額を控除した残額を当該補修用部品在庫調整勘定又は単行本在庫調整勘定に係る棚卸資産の帳簿価額とする。


こうして「株式等の帳簿価額」「総資産の帳簿価額」を当期と前期の2期分の平均で計算し、その割合(少数第3位未満の端数切捨)に当期1期分の支払利子を乗じて控除負債利子を計算します。
このあたりは別表8の指示どおりに書けばいいですね。

最後に、100%の連結法人からの配当については控除負債利子を差し引かずに全額が益金不算入となる改正も行われました。


今年と来年が基準年度になるということで、もし今年末の控除負債利子率を抑えることができれば、今後数年間は簡便法を適用する場合に有利にできるかもしれません。が、経済状況で塩漬けになっている株式も多い中、なかなか有価証券を減らすのは難しいのも事実です。
黒字企業であれば一般の株式の配当額×50%×実効税率(40%前後)ぐらいの規定ですので、無理してまでは減らす必要はないかもしれません。
ですが頭の片隅にでも入っていれば、年度末に損切り等をするかどうかの判断の1つにはなるかもしれません。